LTOライブラリを使う(格安で)

LTOライブラリを導入したので、そのメモ。(2015/11/25)

背景

以前からLTO3 8本のオートローダを使ってはいたのだが、いかんせんデータ容量が大きくなりすぎて満足にバックアップが取れなくなってきた。
メディア自体は潤沢に在庫があるものの、いかんせんオートローダはメディアの交換が面倒くさい。
1本1本エクスポート→メディア交換を繰り返さなければならない。
そんなわけで、マガジン単位でがっつり交換できるライブラリがほしいと思っていた今日この頃。
ヤフオクを何気なく検索してみると、しばらく見ない間にテープドライブの値段がずいぶん下がってることに気がついた。
しばらくウォッチし続けて、日立のGV-FT1L124RK/LTO4を購入。送料込み13000円くらい。
名義は日立であるものの、見てわかるとおりHPのMSL2024シリーズのOEMであり使い方やドライバなどはすべてHPのものが使用できる。
SAS接続のLTO4ドライブを1台装備し、24本のテープが装填できる。

購入から導入まで

この製品に限らずLTOライブラリというのはものすごく複雑かつ繊細で、中のロボットが壊れるとおしまい。
このロボットはライブラリの中を上下左右に動き回るほか回転したりアーム動かしたりするので、ケーブルやギヤ、ワイヤーなどにちょっとでも狂いが出ると動かなくなる。
そのため、日立のマニュアルの中でも輸送についてあれこれ注意書きがある。が、ヤフオクで売ってる中古屋さんにそんな注意事項を理解していちいち気にしている人がどれだけいるかというとやや疑問ではある。
そういうわけで中古で買うというのはその辺の事情を察して、ある意味バクチに近い形にならざるを得ない。
今回購入したライブラリも、普通に宅配されてきた。
当然マニュアルに記載のある安全な輸送用の固定ピンなど装着されているわけもなく、この辺は完全に運任せ。

早速届いた機械の電源を入れ基本動作をチェック。
すると特にエラーもなく、無事Ready状態にまで移行できた。どうやらロボットの搬送部に関しては異常ないらしい。
OSからは、HP製のMSL2024 G3シリーズとして認識された。

メディアの装填 挫折とその克服 その1

ライブラリを導入するにあたっての一つの難所がメディアのバーコードラベルである。

オートローダーはスロットの位置のみでメディアの操作をし、実際のメディアの管理はメディアの内容とバックアップソフトのデータベースで行われる。
ライブラリの場合は、ライブラリにバーコードリーダーが搭載されていて、ラベルとして貼られたバーコードとバックアップソフトのデータベースで管理される。

このバーコード自体は「Code 39」という形式であるものの、併記するテキストを上に置くか下に置くかなどで、ライブラリのメーカーによって使用するラベルの形式が違う。
このラベル、入手方法自体はたくさんあり あらかじめラベルのついたメディア からラベルそのものまでネット上でも検索すればいくらでも出てくる。ただしものすごく高い。

安上がりにこのラベルを作る方法がないかと調べてみたところ、テプラで作ったという話がちらほら。
ちなみにテプラで作るには PCに接続できるモデル が必要っぽい。 幸いPC接続テプラは所有しているので、それらの情報を頼りにラベルを作ってみた。

メディアにテプラで作ったラベルを貼り付け、ライブラリに装填しインベントリをしてみると・・・半分以上認識できないではないか。
メディア自体はあると認識されるが、メディアのラベルが認識されるもの、一部が化けて認識されるもの、まったく認識されず空白になってしまうものが入り交じっている。正常率は30%くらい
ラベルがインベントリのたびに変化してしまうとバックアップソフト上から中身が認識できなくなるので、実用にならない。

テプラで作ったラベルは、バーコード自体はCode 39であるものの、テキストが下に来ていてバーコード部が上になっている。
HP製のライブラリで使うラベルはテキストが上に来るタイプのようなので、その辺がだめだったのか?

テプラはいったんあきらめて、A4のシール台紙に印刷して切り貼りすることを思いついた。
そして発見したのがこのサイト
メディアの種類、ほしい番号の開始と終了を入力するとA4サイズのPDFを出力してくれるという優れもの。
これをA4サイズのシール台紙に印刷して、カッターで切り出せばできあがり。
シール台紙はどれを使うか迷ったが、厚みのある光沢タイプを選んでみた。買う際はノーカットタイプを選ぶこと。

作ったラベルを貼って再挑戦・・・すると正常率が80%位に上がった。
が、まだまだインベントリする度に微妙に化けたものが混じる。

もしかして光沢がいけないのか?ということで、今度は光沢じゃない普通紙タイプのラベルを使って作り直した。
結果、見事100%読み取れるようになった。

結論
光沢のない普通紙A4ノーカットタイプのシール台紙に印刷して、カッターで切るのが確実。

実際のバックアップ 挫折と克服 その2


ようやくバックアップ作業に取りかかると、今度はメディアのロードエラーが。
正確にはメディアが移動できずにエラーになっている模様。
目の前で操作してみると、確かにメディアをロードしようとしたところで「ガッガッガッガッ・・・」とすごい音がしている。

これはダメな機体を引いたか?とやや覚悟しつつ、何が悪いのか見てやろうとカバーを開けてみることに。
カバーには「はがすと保証がなくなるよん(原文英語を超意訳)」という警告シールが貼られているが、もとより中古に保証もあるものかと気にせず分解。
なお、カバーを外すにはちょっと特殊なドライバー(トルクス 10)が必要。

カバーを開け放った状態で電源を入れ、メディアの移動を試してみると、特定のスロットだけ失敗していることに気がつく。
ロボットはちゃんとスロットそれぞれに移動していて、メディアを引き抜こうとアームでつかむも、メディアがスロットを出て行かずイヤイヤしている感じ。

となればマガジンにメディアが引っかかっているのかも、とマガジンをリリース。
マガジンの穴からメディアを押し出そうとすると、確かに猛烈に堅い。
ある程度力を込めれば取り出せないわけじゃないが、アームではこれほどの力は出せないだろう。

マガジンに異常があるようならそのスロットだけ使わないようにすれば済むかも、と考える。
が、取り出したあとのスロットを見てみても特に出っ張りがあるとか壊れている部分が見当たらず。
試しに違うメディアを入れてみると、なんとまぁすんなり出てくるではないか。
逆に、元々入っていたメディアを他のスロットに差してみると、これまた堅くてなかなか出てこない事象が。
つまり、マガジンのスロットのせいじゃなく、使ったメディアがだめな模様。

LTOのメディアにはマガジンとかに入れても落下しにくいよう、裏面の四隅に小さなツメがある。
どうやらこのツメに若干の個体差があり、このメディアはそのツメが標準より高いかエッジが出過ぎている模様。
お金持ちならこんなメディア窓から投げ捨ててさっさと新品を突っ込むのだろうが、貧乏人はそうもいかないので、このツメを削ることに。
ハサミの刃の部分を立てて、カスがメディアに入らないようにしつつ、慎重にちょっとずつ削る。
少し削ってはスロットに入れてみて、スムーズに出し入れできるようになったところで研磨作業終了。
マガジンを戻してロボットで操作してみると、正常にロードできるようになった。

結論
富士フイルムには土手高ちゃんがいる・・・
もとい、LTOメディアのツメは若干個体差があり、まれにマガジンに引っかかるものがあるので最悪の場合研磨が必要